認知症が増加する昨今、資産家にとって「認知症対策」は無視できない課題となっています。
今回は、認知症対策としても注目される「民事信託の基本」から、その効果的な活用法についてわかりやすく解説します。
1. 民事信託とは?認知症対策にも活用できる資産管理法
「民事信託」とは、自分(委託者)の財産を信頼できる人(受託者)に託し、その財産を管理・運用してもらうことで、利益を受益者が享受できるようにする仕組みです。
1.1 民事信託と成年後見制度の違い
- 成年後見制度との違い
成年後見制度との違いは、信託を引き受ける受託者には、「身上監護」を行う権限がありません。
民事信託はあくまでも委託者の財産の管理・運用を行う制度であり、身上監護が必要になった場合、別途、成年後見制度を利用する必要があります。
1.2 民事信託が注目される理由
民事信託は、以下の点で特に優れた資産管理の方法とされています。
- 意思凍結機能:認知症が発症した後も信託契約に基づき、財産管理ができるようになる
- 柔軟な資産承継:次世代へのスムーズな資産引き継ぎが実現できる
- 分割の容易性:不動産など分割が難しい資産を、複数の受益者に分けやすい
2. 認知症が資産管理に与えるリスクと民事信託の役割
2.1 資産凍結のリスクとは?
認知症になると、本人の意思で資産を管理・処分することが難しくなり、以下の問題が発生します。
- 銀行口座の凍結される:本人以外の引き出しが認められないため、家族が代わりに資金を利用できなくなります
- 不動産の売却が困難になる:不動産処分には本人の意思確認が必要で、認知症の状態では売却が困難になります
民事信託の活用することで解決
事前に信頼できる受託者を設定することで、認知症が発症した後も契約に基づいて財産管理が可能になります。
2.2 信託管理人を専門家に依頼するメリット
信託管理を専門家に依頼することで、以下のような効果が得られます。
- 専門知識と経験:法務・税務の専門家が複雑な手続きを代行することができる。
- トラブル防止:家族間の資産トラブルを未然に防止することができる。
- 効率的な運用:信託財産の適切な管理と効率的な運用を実現することができる。
3. 民事信託を活用した節税事例
3.1 固定資産税や所得税への影響
民事信託では、信託契約に基づき固定資産税や所得税の納税者が明確化され、手続きが簡素化されます。
- 固定資産税:受託者が納税通知を受け取り、契約に基づき受益者が負担する。
- 所得税:収益発生時または分配時に受益者が課税対象となる。
3.2 相続税評価額の引き下げ
民事信託を活用することで、資産の評価額を低減し、相続税の負担を軽減することが可能です。
- 事例:
不動産を信託し、賃貸収益を活用した。評価額を60%程度に抑え、相続税を大幅に軽減することができた。
→ポイント:民事信託を戦略的に活用することで、節税効果と資産管理の効率化が同時に実現します。
4. まとめ:認知症対策としての民事信託の重要性
民事信託は、認知症発症後の資産凍結リスクを回避し、柔軟な資産承継と節税効果を実現するために活用することができます。
早めの対策が重要!
- 資産管理と承継を確実に進めたい方
- 家族間のトラブルを防ぎながら、スムーズな資産引き継ぎを望む方
ぜひ「民事信託」をご検討ください。